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仮面と少年
とある日の昼、たまには奮発して外食でもするかと食堂へと出かけ、少し工房を留守にしていたのだが、帰ってくると何故か工房の扉が開いていた。
一瞬泥棒かとも考えたが、そんな金目の物があるわけでもない、念のため警戒しながら足音を忍ばせ工房に近づく、と中から
「ちょ、なんで、そんな、ところに!」
何か飛び跳ねるような音と一緒に最近よく聞く声が聞こえた。
中を覗くと、綺麗な金色の髪に、黒いマントを羽織った魔術師の少年の姿。
最近、うちの工房にある道具を貸すことが多いので、工房の合鍵を渡してあったのだ。
何故か一生懸命、道具が置いてある棚に向かって飛び跳ねているのは……どうやら、棚の高いところに置いてあった『仮面』に届かないかららしい。
棚の手前の方に置いてあったはずだが、どうも手に取ろうとした時、誤って奥へと押し込んだようだった。
必死になって飛び跳ねている少年は、こちらに気が付いておらず、その懸命さには、微笑ましいものを感じもする。
ふと悪戯心が沸き起き、薄く笑みを浮かべながら気が付かれないよう、こっそり後ろから近づき。
「お探しのものはコレかいレオル君?」
後ろから手を伸ばし仮面を取ると、目の前に差し出し、にっこりと微笑みかけてみる。
少年は、一瞬呆気に取られた顔をし……直後。
「み、み、み、見てたんですかっ?!」
顔を紅潮させながら、【スザザザー!】と効果音の聞こえそうな勢いで後ずさる少年。
「見ていたというか、俺の家だし……あれだけバタバタやってれば、そりゃ目立つしな…。」
至極もっともな事を言ってみたのだが、目の前の少年は
「……だいたい、あんな、高いところに置いておくからっ。……ちょっと背ばっかり無駄に高いからってっ」
さりげなく酷い悪態をついている。
別にそれくらいで怒りはしないのだが、ちょっとだけ反撃したい気持ちも沸き起こるわけで。
「いやはや、すまなかったね……でも、なかなか可愛らしいものだったよ、月見て跳ねる兎ってのはあんな感じかね」
大人気ない仕返しをまじえた揶揄を投げつける。
「な、な、な……!誰が兎ですか、このっ……も、もう知りません。帰ります。」
と、言い捨て何か袋のような物を投げつけて、工房から走り去っていった。
後日その袋に入っていた、薬キノコを使った傷薬を見てちょっとだけ反省した俺は。
特別に背の低い棚を1つ、黙って工房に設置することにした。
一瞬泥棒かとも考えたが、そんな金目の物があるわけでもない、念のため警戒しながら足音を忍ばせ工房に近づく、と中から
「ちょ、なんで、そんな、ところに!」
何か飛び跳ねるような音と一緒に最近よく聞く声が聞こえた。
中を覗くと、綺麗な金色の髪に、黒いマントを羽織った魔術師の少年の姿。
最近、うちの工房にある道具を貸すことが多いので、工房の合鍵を渡してあったのだ。
何故か一生懸命、道具が置いてある棚に向かって飛び跳ねているのは……どうやら、棚の高いところに置いてあった『仮面』に届かないかららしい。
棚の手前の方に置いてあったはずだが、どうも手に取ろうとした時、誤って奥へと押し込んだようだった。
必死になって飛び跳ねている少年は、こちらに気が付いておらず、その懸命さには、微笑ましいものを感じもする。
ふと悪戯心が沸き起き、薄く笑みを浮かべながら気が付かれないよう、こっそり後ろから近づき。
「お探しのものはコレかいレオル君?」
後ろから手を伸ばし仮面を取ると、目の前に差し出し、にっこりと微笑みかけてみる。
少年は、一瞬呆気に取られた顔をし……直後。
「み、み、み、見てたんですかっ?!」
顔を紅潮させながら、【スザザザー!】と効果音の聞こえそうな勢いで後ずさる少年。
「見ていたというか、俺の家だし……あれだけバタバタやってれば、そりゃ目立つしな…。」
至極もっともな事を言ってみたのだが、目の前の少年は
「……だいたい、あんな、高いところに置いておくからっ。……ちょっと背ばっかり無駄に高いからってっ」
さりげなく酷い悪態をついている。
別にそれくらいで怒りはしないのだが、ちょっとだけ反撃したい気持ちも沸き起こるわけで。
「いやはや、すまなかったね……でも、なかなか可愛らしいものだったよ、月見て跳ねる兎ってのはあんな感じかね」
大人気ない仕返しをまじえた揶揄を投げつける。
「な、な、な……!誰が兎ですか、このっ……も、もう知りません。帰ります。」
と、言い捨て何か袋のような物を投げつけて、工房から走り去っていった。
後日その袋に入っていた、薬キノコを使った傷薬を見てちょっとだけ反省した俺は。
特別に背の低い棚を1つ、黙って工房に設置することにした。
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